最高速でぶれる崖

個展『最高速でぶれる崖』、札幌/CAI02 (http://cai-net.jp)

2014年11月8日 〜 11月29日

キュレーション 大下裕司

Photo:小牧寿里

 

1980年代生まれという、インスタレーションが表現方法として既に「普遍的」となっている世代にとって、逆意的に空間とは何かと問われているようでもある。川村にとっての制作方法、行為の中の美術理論や方法論が、直接的にエステティックな空間への回答にはなり得ないとしても、インスタレーションという在り方が、一つのメディウムのようなものでも、言い訳でも、彫刻的でもなく、ただそれそのものとして存在できるのかという活動であることは間違いなく、それが故に避けがたく問われ続けている。しかしながら、同時に一体誰に?という疑問も抱えながら。

彼の言う「作為と戦っている」という状況というのは、別に空間における構成術によって成立している訳ではない。オブジェクトの配置が、彼の記号や言語や、振る舞いとして機能している訳でも、コンテクストの読み替えを生業にしている訳でもない。そうしたものを避けているのでもないが、そうしたことと戦っているわけでもない。彼の「作品」は、事実的には人為自体をさしてアートと言えないこともないような切実な膨満感の中で、彼が空間というものと比喩的ではなく向かい合っている状況や生成に形を与える事が出来たら、というもう少し純粋な願いを持っているものだとして、それらを一時的にインスタレーションと呼ぶ(呼んでしまう)ことへのレスポンスなのだ。それを中庸的な世界観として仮定できるのであれば、彼の作品は恐らく作品以上に何かを語っていることに、想起として得られるかもしれない。それを断定出来ないが故に、こうした展覧会を開催したいと思えた事を記しておきたい。(大下裕司)